今日はＡさんのお話です。
２年間の交際を経て、３０歳の時に結婚しました。夫が長男であることは、特に気にしていませんでした。義母と同居するまでは…！
義父が他界したタイミングで、私たち夫婦は義母が１人で住む実家に同居することにしたんです。
同居を始めてスグでした。
嫁子さん、車を出してちょうだい。ちょっと用事があるの。
これが悪夢の始まりだったんです。
その日から、病院の送迎、買い物の付き添い、趣味の会への送迎など、私の休みの日はほぼ、車の運転をさせられるようになったんです。
折角の休みなのに、どうして毎回運転手にならなきゃダメなの？
俺は忙しいからよろしく。
あなたの親でしょ。共働きなんだから、たまには手伝ってよ！
無理。来週も出張だから。
母さんのおかげで家賃もかからないんだから、そのくらい当然だろ！
アッシーちゃんだけでなく、家事も全て私です。
毎日毎日、休む暇もありません。
私の作る料理が気に入らないときは、目の前で捨てられたりしました。
子供が出来ないのは夫が原因なのに、私のせいにされて酷い言葉を投げつけられたのも一度や二度ではありませんでした。
「長男の嫁だから」というだけで、奴隷のような扱いを受けていましたが、ぐっと飲み込んできました。
そんな生活が１０年以上続きました。
義母が認知症を患ったんです。
それからは更に大変でした。
最初はヘルパーさんにお願いしていたんですが、義母がヘルパーさんに対して「私の財布を盗んでいる」と言いがかりをつけるようになり、トラブルになりました。
認知症は日に日に悪化し、昼夜逆転や徘徊が始まったので、私は施設入所を提案しました。
でも、夫や夫の弟たちから「施設入所なんてかわいそうだ！長男の嫁が介護をするのが当たり前！母さんの貯金が減らなくて一石二鳥だ！」と大反対されたので、私が退職して、付きっきりで介護するしかありませんでした。
私が退職したため、収入が激減。うちの家計が苦しくなり始めました。
慣れない介護に私の体はボロボロ、通院費もバカになりません。
義母の要介護度が上がるにつれて、義母のもらっている遺族年金だけでは介護費用を賄えなくなり、我が家の貯金で補填しなくてはならなくなりました。
その後ほどなくして、義母が足を骨折して歩けなくなりました。
寝たきりになってはいけないので、家の中を車椅子で移動できるようにと、４００万円のリフォームローンを組んでバリアフリーにしました。
介護にこんなにおカネがかかるなんて、思ってもいませんでした…
認知症の義母の介護は７年続きました。
義母が亡くなったときは、悲しいという気持ちはなく、やっと終わったという気持ちしかなかったです…
葬儀のあと、喪主である夫と弟２人がうちに集まり、相続についての話し合いが行われました。
さっさと決めようぜ～
そうだな。
まず母さんが遺したのはこの家だろ。
今まで兄貴たちが住んでたんだし、兄貴が取ればいいんじゃね？
俺は家持ってるし。
古いから価値はないだろうけど…
そうするわ。
ここまでは比較的和やかに話が進んでいたんですが、次男のひと言がきっかけで、雲行きが変わりました…
で、肝心の預貯金はどれくらいあるんだよ。
確か父さんが亡くなったとき、母さんにまとまった金額が入っていただろ。
母さん名義の預金は３００万円くらいしかないぞ。
ということは、兄貴が家を取るから、３００万円は俺と弟の２人で分ければいいから、１５０万円か…少ないけど仕方ないか。
母さんの面倒はずっと俺たち夫婦でみてきたんだから、預金も三等分だろ？
いや、母さんのためのリフォーム工事のローンも俺が払ってるんだから、預金を全部もらっても足りないくらいだ！
は？兄貴が住んでる家のリフォーム代なんか、兄貴が自分で払って当然だろ？
兄貴は母さんの介護、何ひとつ手伝わなかったって聞いたけど？
そうだよ、実際に面倒をみてたのは義姉さんだったんだろ！
お、俺は仕事で忙しかったから…
でも、妻が面倒見ていた分、遺産を多くもらえるのは当然だろう？
義姉さんは相続人じゃないから関係ないだろ。
いくら金が欲しいからって、突然意味が分からないこと言うなよ！
そうだよ！それに義姉さんだって、兄さんと結婚したってことは、長男の嫁になるって分かってたんだから、母さんの面倒をみるのは承知の上だろ。
次男と三男の言葉に、私は絶句しました。
私があんなに大変な思いをしたのに、彼らは「長男の嫁だから」で片づけようとしていました。
ふざけるな！！
妻がどれだけ大変な思いで母さんの面倒をみてくれたと思っているんだ！
そんなに大変だったのなら、兄貴が手伝ってやればよかったじゃないか！
何もしてないくせに、いい年してカネカネ言うなよ！みっともない！
そうだよ！兄貴には子供がいないんだから、カネなんて必要ないだろう？
俺たちには子供がいるから、カネがかかるんだよ！そのくらい察しろよ！
兄弟の言い争いは夜通し続きました。
私の苦労は「長男の嫁だから当然だ」という理由で全く認められず、預貯金は弟たちで二等分されることになりました…
