法を知ることが勝利の条件である~第4章~

お金・法律

それは突然のことでした。

兄が入所している施設からの電話です。

 

「もしもし、D子さんですか?救急隊員に代わりますね!」

「えっ?救急隊員?!」

「今お兄さんは呼吸が困難な状態です。気管を切開して呼吸を確保しますか?」

 

施設からは、兄の体調は安定していると聞いていたので、本当にびっくりでした。

そんな中、重苦しい決断を迫られるとは…

 

兄は結婚しなかったので、妻や子供はいません。

親族は私達きょうだい4人のみです。

 

長男:A夫。既に亡くなっており、娘が2人います。

姪はそれぞれ長野県と山梨県に嫁いでいます。

次男:B男。危篤中の兄で、大阪に住んでいます。

長女:C子。神奈川県にいますが、認知症が進んでいるので、何もできない状態です。

1人息子は福岡に住んでいます。

次女:D子。私です。明石に住んでいます。

長女と長男がいて、娘は神戸、息子は京都に住んでいて、とっても心強いです。

 

きょうだいの中でも、一番近くに住んでいる私が兄の施設入所や入院時の手続きを行い、緊急時の連絡先になっていました。

以前から兄は「延命治療はしてくれるな。自然に死なせてほしい」と、事あるごとに言っていたので…

私は「はいはい」と聞き流していたんですが、今まさに決断のときです。

 

兄はああ言ってたけど、今「気管切開はしないでください」と救急隊員にお願いすることは、兄を死に追いやってしまう行為では…?

でも、兄は延命行為を望んでいないはず…

今、私が延命行為をお願いしてしまうと、兄の意思に背くことになる…?

 

私は少し悩みましたが「気管切開はしないで、自然に逝かせてやってください」とお願いして、電話を切りました。

 

 

その後1時間もしないうちに、救急搬送された病院から連絡がありました。

兄は病院へ搬送される救急車内で呼吸が停止し、搬送先で死亡が確認されたそうです。

 

 

兄が亡くなってからは、もうバタバタでした。

先ずは親族に連絡をしました。

病院からは、なるべく早く遺体を移動させてほしいと言われたので、葬儀をどこにお願いすれば良いのかを娘に相談すると、インターネットで大阪の葬儀社を調べてくれました。

若い人は頼りになりますね。

 

あまり時間がないので、よくわからないままその葬儀社へ連絡しました。

懇親丁寧に対応してくれたのでよかったんですが、問題は葬儀費用です。

 

なんだかんだで100万円ほどかかりそうなのですが、そんな大金を立て替えることはできません。

なので、兄の家で兄の預金通帳を探しました。

「今は、相続人全員のハンコがなくても、おじさんの預金の仮払いを請求できるみたいよ」と娘が教えてくれたからです。

 

こないだできた制度やね

 

兄の預金を仮払いしてもらうには、兄が生まれたときから死亡までの戸籍謄本が必要らしく、娘と2人で兄の戸籍を取りに役所へ行きました。

 

兄の生まれたときから死亡までの戸籍謄本は、大阪の役所で全て揃いました。

なんでも、戸籍謄本が1か所の役所で全部揃うことは珍しいことで、通常は他府県に転籍していることが多く、1日では揃えられないんですって。

 

ほんま、超ラッキーやで

 

戸籍が1日で揃わなかったら、銀行がお金をおろしてくれるまでに何週間かかるか分からず、葬儀屋さんに支払いを待ってもらうよう、お願いをしないといけません。

 

兄の家で預金通帳を探していたときに、「尊厳死宣言書」という書類も見つけました。

「リビングウィル」とも言うそうです。

 

尊厳死とは、死が迫っている場合や、意識不明状態が長く続いた場合に、死期を引き延ばすためだけの医療措置は受けずに、自然の経過のまま受け入れる死のことです。

 

その中には、兄がしてほしくないことが書かれていました。

 

「心肺蘇生・人工呼吸器・気管切開・胃ろう・昇圧剤や強心剤・抗がん剤は、やめてください」

 

あのときの私の決断が間違っていなかったことがわかり、心からホッとしました。

こうして書面にして残しておくということは、残された遺族にとっての重要な指針になるんだということを痛感しました。

 

私も、子供たちのために、尊厳死宣言を残しておこうと思いました。

子供たちに苦しい選択をさせないことが、私にできる最期のことだと思いますから。

 

「書面に残す」と言えば、遺言書も必要かも知れませんね。

娘と息子の仲は良さそうですが、遺産を目の前にしたらどうなるか分かりませんよね(笑)

 

ほんまそれな

 

 

ということで、今回は親族が突然亡くなったらどうなる?というお話でしたが、どんなことでも知っていて損はないので、変なトラブルに巻き込まれても余裕でかわせるように、日頃から耳をダンボにしておきましょう!

 

・結婚予定の彼女が、年齢をサバ読みしていました!これって結婚詐欺ですよね!(怒)

 

・私が不倫していることを、夫や友人たち十数人にバラされました!バラしたママ友を名誉毀損で訴えたいです!

 

・死亡届が出されたら、その人の銀行口座は凍結されてしまうんですよね?

 

このような素朴な疑問も「しょしこ」におまかせ。

「こんなことが知りたい!」ということや、お悩み相談、ご意見などを送ってもらえたら、このメルマガで取り上げて、回答させていただきます(^^)

すずらん司法書士事務所|しほうしょしこ
昨日の友は今日の敵|コレ、対岸の火事ではありません。

 

今後発生しそうなことを先に知っておくと、怖いもんなしです。

 

どんなことでも「オオゴトになる前」が重要で、一旦オオゴトになってしまえば、長期間決着しないし、しかもめっちゃ疲れます。

 

今は、例の事件が真っただ中なので…

贈与、相続、お墓、親族関係、治療費で、もめにもめている人が、日本国中で激増しております。

なにかあってからでは遅いので、早いうちから、しっかり準備しておきましょう。

自分は大丈夫という、ヘタな思い込みは、人生を台無しにしてしまいますよ。