最後に全部ひっくり返す。

介護・障害

私には姉がいます。

 

姉も私もそれぞれ独立していて、実家の近くに住んでいます。

 

昔から母は姉だけをかわいがり、私は母に好かれていなかったというか、厳しいというか、冷たいというか、私のことは嫌いなんだろうな、と思っていました。

 

父は『きょうだい分け隔てなく平等に』という感じだったので、母が亡くなったら私には財産を残さないことはあったとしても、父が私に財産の殆どを相続させようとしていたのにはびっくりしました。

 

 

父は10年ほど前から糖尿病を患っていて、合併症で亡くなる半年ほど前から入院していました。

 

母は体の調子が悪いと言って殆ど見舞いにも行かず、姉も「仕事が~」と、似たような感じでした。

 

私は職場の最寄り駅の近くに父の病院があったこともあって、朝に10分ほど顔を出して、帰りも残業がない日は顔を見せることにしていました。

 

父が亡くなった日の朝も、私は顔を見に行っていました。

気分が良さそうにしていたので、まさかその数時間後に亡くなるとは思いもしていませんでした。

 

昼の休憩時間になろうかという頃に病院から電話がかかってきて、父が亡くなったことを知らされました。

 

急性心不全だったそうで、看護師さんが昼の食事を配膳に行ったときには、既に眠るように亡くなっていたそうです。

 

それからは葬儀の準備などで、家族みんながバタバタとしていて、悲しむ間もありませんでした。

 

葬儀を終えて少し落ち着いたので、父の遺産整理をすることになったのですが、そこからが驚きの連続でした。

 

遺産の総額を調べると、日常の生活費が引き落とされる口座に200万円ほど入ってましたが、母が住んでいる土地と建物は、5年ほど前に私に名義変更されていて、私が受取人になっている生命保険が5件、私名義の預金通帳が4冊。あとは金庫に300万円ほどの現金と遺言書があるだけでした。

 

遺言書を見てみると、葬儀費用のことが書かれていて、葬儀費用は金庫のお金を当てるようにとのことでしたので、その結果、金庫のお金は残り100万円ちょっとになり、日常の生活費が引き落とされる口座に残っていた200万円と合わせて約300万円が相続の対象となりました。

 

300万円以外の遺産は既に私の名義になっていたので、母と姉は、私が父をそそのかしたに違いないと思っていて、ボロクソに非難されました…

 

遺言書には、父の葬儀にも出席してくださっていた弁護士さんの名前が証人の欄に書かれてあったので、連絡をしてみました。

 

「一度みなさんで事務所にいらしてください」

 

とのことで、母と姉と私で弁護士さんの事務所に伺いました。

 

 

母と姉は、私が父を騙して遺産を独り占めしたから裁判をする!と息巻いていましたが、弁護士さんが「まず遺言書の説明をさせてください」と言ったので、話を聞くことになりました。

 

そこには、母の浮気に関する調査書と、父と姉には99.9%の確率で父子関係は存在しない旨の鑑定書もありました。

 

母の顔から血の気が引きましたが、もう父はいないし、姉は自分の味方だから大丈夫だと思ったのでしょう。

 

「そんなもの、関係ないわよ!私は長年我慢してきたんだから、遺産をもらう権利があるわっ!」と開き直りました。

 

 

弁護士さんは静かに「残りの300万円を、法律通りに分けることをお勧めします」と言いました。

 

 

それでも遺産を諦めきれない母と姉は裁判を起こそうとしましたが、どこに相談に行っても「裁判に勝てる見込みはない」と言われたようです。

 

そりゃそうでしょうね。

 

父が本気を出していれば、母が浮気をして、生まれた姉は浮気相手の子だと把握した段階で、離婚と慰謝料を請求できましたし、母に「姉を連れて出て行け!」と言うことはできました。

 

でも父はそんなことをせずに、姉も自分の子であるかのように、分け隔てなく育てたんです。

 

事実から考えれば、母と姉は父を相続する権利などないのですが、戸籍上は父の妻であり長女であるので、欲張らないで、300万円を分けた方が得策でしょう。

 

 

という訳で、結局は「300万円を母が2分の1、姉と私が4分の1ずつ分ける」という内容の書類に全員でハンコを押して、一件落着となりました。

 

 

父はとても温厚な人だったので、敢えて「浮気だ!離婚だ!」と騒がずに、自分が死んでから「隠し通せていたと思っていただろう。全部知っていたぞ」と母に知らしめたのでしょう。

 

母はまだ、父と住んでいた私名義の家に1人で住んでいるんですが、そろそろ出て行ってもらおうと思っています。

 

散々かわいがった姉からは何の援助もなく、「住むところがなくなったらどうしよう…」と恐々としているようです。

 

 

子供の頃から、なぜ母が私に冷たかったのかという理由も分かったので、姉が母の面倒を見なくても、私は母の面倒を見る気なんか1ミリもありません。