結論
確かに、お兄さんの言うように「家督相続」といって、明治時代から終戦直後まで実施されてきた相続制度がありました。
基本的に「長男がすべての財産を相続する」というルールですので、今の相続制度とは大違いです。
ただ、今でも「長男がすべての遺産を相続するのが当たり前」と考えている人も少なくないです。このお兄さんがまさにその人ですよね。
当たり前田のクラッカーですが、今の法律では妹さんたちに軍配が上がります。
更に、お兄さんには弱点があります。
下手をすると、社長の地位を失いかねません。
お父さんは遺言を残していなかったので、遺産の分け方は相続人の話し合いで決めることになります。その際の分け方の基準が法律で定められているんです。
それによると、お兄さんの相続分は6分の1なんです。
つまり、残りの6分の5は女性陣に権利があります(母6分の3、妹たち各6分の1)。
細かい計算は端折りますが、お兄さんは女性陣を敵にまわすと、社長の座から引きずり降ろされかねないんです。
もし本当に社長をクビにされたりしたら…
これは非常事態です。
そして、相続税が課税されるケースだったので、配偶者であるお母さんがきちんと相続せずに、お兄さんが全部を相続すると、相続税がドエライことになるので、避けるべきでした。
社長の座に重い相続税。
この2点があるので、お兄さんは妹さんたちに「法定相続分は6分の1しかないけれど、今まで両親の世話をしてきたし、これからも母の面倒は最後まで見る。会社もやっていかないとダメだから、6分の1を超えて相続させてほしい。」とお願いするしかなかった。
にもかかわらず、無知ゆえに「全部俺がもらって当然」という態度をとってしまったお兄さん。
そりゃあ反撃されて、夜も眠れなくなるわ。
長男「私の完敗です…」
このお家の相続は、妹さんたちが専門家のアドバイスをもらって、しっかりと争いの芽を摘んだため、怒涛のバトルには至りませんでした。
みなさんも相続争いに巻き込まれないように、基本的なことは知っておいた方が身のためでしょうね。
法律って、知らなかったら負けますから。
・遺言書が複数出てきたら、一体どれが有効?
・相続人が誰もいなかったら、遺産は誰のものになるの?
・親が認知症になるかもしれないから、今からどんな準備をしておけばいい?
このような、素朴な疑問も「しょしこ」におまかせ。
「こんなことが知りたい!」ということや、お悩み相談、ご意見などを送ってもらえたら、このメルマガで取り上げて、回答させていただきます(^^)
今月の勉強会は、12月25日です。
シャンパンでも飲みながら、楽しく参りましょう!
どんなことでも「オオゴトになる前」が重要で、一旦オオゴトになってしまえば、長期間決着しないし、しかもめっちゃ疲れます。
今は、例の事件が真っただ中なので…
贈与、相続、お墓、親族関係、治療費で、もめにもめている人が、日本国中で激増しております。
なにかあってからでは遅いので、早いうちから、しっかり準備しておきましょう。
自分は大丈夫という、ヘタな思い込みは、人生を台無しにしてしまいますよ。