①私の遺産は自動的に夫(or 妻)に渡るから、対策は不要
はい、確かに夫に渡ります。
しかし、夫が単独で相続出来るとは限りません。
あなたの親が健在ならば、夫と親が相続人です。
親が不在でも兄弟姉妹がいれば、夫と兄弟姉妹が相続人です。
先に亡くなっている兄弟姉妹がいたら、その子である甥姪も相続人になります。
つまり、子がいない方の相続は、相続人の数が多くなる傾向が非常に強いです。
相続人が多いと、偏屈で話にならない人や、認知症で意思表示が不能な人、行方不明で連絡が取れない人等がいる確率が上がります。
すなわち、相続手続が厄介になりがちですから、遺言書の作成をおススメします。
②親を介護すれば、他の兄弟姉妹よりも遺産を多く貰えるのは当然
当然ではないです。
法律上、介護した子の方が遺産を多く貰えるという規定はあります。
しかし、具体的に「いくら多く貰う権利がある」とまでは定められていないので、実際は話し合いになります。
となると、介護をしていない子にも言い分がありますので、うまく折り合いがつかずに裁判沙汰になってしまうことはよくあることです。
③田舎の親が要介護状態になったら、自分の住む町に呼び寄せる
気持ちはわかりますが、よろしくないです。
「年老いた親は子と同居したがっているだろう」というのも子供世代の思い込みですし、高齢になってから環境が変わると、認知症を発症しやすいです。
認知症って、発症したら良くならないから要注意ですね。
若いうちは環境が大きく変わっても順応力が高いので何ともないですが、高齢者には酷な話です。
町のどこに何があるかを熟知し、地元で築いた交友関係を基盤として長年生活していたのに、それらを失ってしまうと…想像できますよね?
あなたが「明日からエジプトで暮らすよ!家族みんなで移住だから大丈夫!」と言われるようなもんです。
④親が亡くなったら、すぐに親の銀行口座が凍結されてしまう
金融機関へは役所が情報を流すので、それまでにお金を降ろしておかないと葬式費用等が支払えなくなる!先手必勝!
ではないです。
若干の例外はあるとしても、遺族が金融機関に申告しない限りは口座の凍結は行われません。
というか、役所と金融機関は情報を共有していないから、行い得ないでしょ。
今後、なんちゃらカードで全ての個人情報が一元化されたら知らんけどね。
例外というのは、こんな感じです。
・新聞のお悔やみ欄に掲載された
・葬儀が行なわれていたことを金融機関の者が見聞きした
・その他
凍結されない証拠に、私の母は2020年8月に逝去しましたが、金融機関にその旨を申告していないので、母の口座はまだ生きております。
え?
司法書士のくせに、何故相続手続を行わないのかって?
「こちらからアクションを起こさないと口座は凍結しない」ということを、生き証人(笑)としてお伝えするためですよん。
⑤遺言書には「子供たちで仲良く均等に分けてほしい」と書いた(or 書く)
遺産に不動産が含まれないのなら、この書き方でOKです。
でも、不動産があるのならNGです。
子供が2人いるなら半分こ、子供が3人なら3人の共有名義にすることは可能です。
しかし、それは後日、トラブルの種になり得ます。
・不動産を相続する際は、誰か1人だけを名義人にすること
これが大原則ですから、
「不動産は次女に相続させる」というように、きちんと1人を指定してあげてください。
「あの時1人に名義を寄せてたら『こんなこと』にはならんかったのにっ!」ということはよくあることですので…何卒よろしくお願い申し上げます。